普段からスポーツと接する人でも、体験したことのない競技も多いハズ。あまり知られていないけれど、気軽に始められて楽しくて健康にもいい、実はそんなスポーツがまだまだあります。本連載ではそんな魅力の詰まったスポーツを紹介していきます。

 

第一回目となるのはスカッシュ。そのプレースタイルからテニスと比較されることが多いですが、テニスとはちがったスカッシュならではの魅力がたくさんありました。レクチャーしていただいたのは、東京・広尾にあるスカッシュ専用施設「double Blue」のスタッフ小山伸也さん。

ビギナーでも味わえる抜群の爽快感

スカッシュ

「スカッシュは全くテニスをプレーしたことのない人でも楽しめます」と話す小山さんですが、ここが重要なポイント。競技によっては楽しめるようになるまでにある程度の練習や技術が必要で、そこまで行かずにやめてしまった経験をした人も少なくないハズ。その点スカッシュはテニスをプレーしたことのない超初心者の取材陣も簡単にラリーができました。

 

というのも、スカッシュは壁に囲まれているので、ボールが遠くに飛んでしまうこともネットに遮られることもなく、ビギナーにありがちなラリーが続かない、ということがありません。しかも室内なので室温も一定に保たれていて、天候にも左右されず、日焼けの心配をする必要もないので快適な環境でプレーすることができます。

スカッシュ

実際にプレーして驚いたのが、思ったより球が小さく弾まないということ。ピンポン球ほどのサイズで衝撃を吸収しやすいゴム製なので、常に振り切ったスウィングをしなければなりませんが、これが逆に気持ちいい。ラケットを振ったときのインパクトと、球が壁に当たったときのバチーン!という音がとても爽快感を味わえます。

仕事帰りにさくっとプレー

都内にあるスカッシュ専用の施設はここ「double Blue」だけですが、最近ではフィットネスジムにも入っていたりするので、近場でプレーできる場所があるか探してみましょう。

 

「double Blue」は10分単位で借りられるので、仕事終わりに30分ほど汗を流して帰る人もいるようで、来客の7割はビジネスマンなんだとか。土日ともなると、朝から仲間をつれてプレーする人たちで賑わっています。

スポーツのススメ vol.1 スカッシュ編

ここでプレーするために必要な持ち物はシューズと動きやすいウエアとスカッシュ専用のボールだけ(ボールは施設内でも購入可)。シューズはコートをキズつけないようにノンマーキング(摩擦熱で溶けないソール)のものを用意しましょう。スカッシュ専用のシューズも市販されていますが、バドミントンやハンドボール用でも代用可能で、ビギナーの多くはそれらを使用しているようです。

 

スカッシュの専用のラケットと衝突によるケガを防ぐアイガードは無料で貸し出してくれます。ラケットはテニスとバドミントンのあいだくらいのサイズ感で、かなり軽い。速いラリーが続くので、振り遅れないように軽くつくられているのだそう。

ビギナーはルールよりもプレーする楽しさを

基本的なルールは、まずサービスボックスと呼ばれる左右の小さい枠に片足もしくは両足を入れて、正面の壁の真ん中にある黄色いラインと一番上にあるラインの間に打ち、立ち位置とは逆のコート後方にあるクウォーターコートに落とします。正面にあたったあとは、横や後ろの壁に球があたっても問題なし。受け手はボールが床にワンバウンド、もしくはノーバウンドでレシーブします。ツーバウンドしたり、ラインを越えたりしたら相手へ1ポイント。これを繰り返して勝敗を決めていきます。(正面の真ん中にあるラインと床にあるラインはサービス時のみ使用)

 

「公式の試合では11ポイント制の5ゲームマッチですが、ビギナーは細かいルールよりも、まずはラリーを続けることを楽しむといいかもしれませんね」と小山さん。

2つのコツをおさえて上手なプレーを

知識がなくてもプレーできますが、ビギナーから一歩抜け出すために必要な2つのポイントをレクチャーしていただきました。

スポーツのススメ vol.1 スカッシュ編

 

1.バックスピンをつかう

たとえばテニスはトップスピンをかけて速いボールを打ちますが、スカッシュでは逆効果。壁にボールがあたると山なりの弧を描いて跳ね返ってくるので相手に有利となってしまいます。なのでバックスピンをかけるイメージで下から打つと取りにくい球筋になり、ミスも大幅に減らすことができます。

 

2.壁ぎわにボールが来るように腕の軸を使う

相手にとって取りにくい球は、早くて低く、壁ぎわのライン。手首を使って打つと打球の方向が定まらないので、手首は固定して肘を軸にひねるようにスウィングすると狙ったところに球が飛びやすいそうです。特徴的なのは打つ直前に背を向けるということ。野球やテニスはボールに対して垂直に構えますが、スカッシュは背面を向くくらいまで振りかぶると打球をコントロールしやすいようです。

スカッシュは誰でもうまくなれるスポーツ

今回レクチャーしていただいた小山さんは大学のインカレの団体で主将を務め、優勝へ導いた実力者。少しのレクチャーを受けただけですっかりスカッシュの楽しさにハマってしまった取材陣ですが、その魅力についてうかがいました。

スカッシュ

「もともと大学までソフトテニスをやっていたんですが、大学でスカッシュと出会い、その魅力に引き込まれ転向しました。テニス経験者のほうが有利ではと思うかもしれませんが、それは最初だけ。一番強い人はスカッシュの練習をどれだけ頑張ったか、これに尽きますね。スカッシュのいいところは、大半が大学から始めるので、圧倒的な実力差がないというところ。なので社会人から始めても十分に楽しめるスポーツだと思います」

 

手軽で始められる一方で、全力でプレーすると10分もすれば息があがる想像以上にハードなスポーツ。プロの試合で長いものだと2時間におよぶのだそう。その分、全身を使うので体幹が鍛えられるのだそうです。

 

●施設情報

スカッシュ

「double Blue」は2017年にオープンした、都内唯一のスカッシュ専門施設。全面ブルーのカラーリングが目を引くスタイリッシュな空間で、更衣室やロッカー、シャワールーム(有料)も設置されています。

 

パブリックなので使用料さえ払えば誰でもすぐに始められます。また、会員登録(無料)をするとウェブから事前予約できるので、混んでいるときでも待たずに利用できます。料金は1コート単位で、4人で1時間プレーしても1人1000円以下とお手頃。「ルールなどの基本的なことは教えられるので、スポーツ未経験という人も大歓迎」とのこと。仕事終わりや、休みの日に友人とわいわい楽しく、そんな使い方ができそうですね。

 

「double Blue」 

料金:平日10:00〜18:00 10分480円

                  18:00〜21:20 10分580円

          土日祝10:00〜18:00 10分580円

住所:東京都渋谷区広尾5-12-2

電話:03-5793-3735

https://www.doublebluesq.com/

 

text:Keisuke Tajiri       photo:Yusuke Hayashi