スポーツと言われて思い浮かべるものは、部活やスポ根アニメなど、「学生時代の青春」を映し出すものが多いかもしれない。しかし、仕事に、遊び、恋愛と、毎日を生き生きと過ごす人たちの日常を覗いてみると、そこには、大人の日常に寄り添うスポーツの姿があった。“スポーツは、大人になった今だからこそ楽しい!”これを検証すべく、スポーツ好きが集まると噂の、ASICS社員のスポーツライフに迫っていく。

ランニングは手軽にできるリフレッシュ法

「実は入社する前、ASICSのシューズはあまりかっこいいと思っていませんでした」

こう話し始めたのは、グローバルイージーランニング&トレーニングフットウエア統括部で働く前田紗希さん。入社2年目を迎える、若きデザイナーだ。

就職活動中のころ、数社から内定をもらっていたというが、なぜASICSを選択したのか。そこには「人のよさ」があったという。「インターンとして働いていて、社員同士が仲良かったんです。自分のことはさておき、助け合っているところをみたときに、他の企業にない良いところだと思って決めました」

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前田さんがデザイナーとしてスポーツの世界を志したのも、スポーツ選手はもちろん、スポーツを応援している人たちのキラキラと輝く姿をサポートしたいという思いからきている。そして彼女自身もまた、幼少のころからクラシックバレエを習い、一時はプロを目指していたこともあるほど身体を動かすのが好きだという。他にも、サーフィンやヨガ、フィットネス、ベリーダンスなど幅広くアクティビティをこなしてきたそうで、さらに最近ではポールダンスに興味があるというのだから、その行動力の高さに驚かされる。

そして前田さんにとってランニングはインスピレーションの源として欠かせない。「通っていた東京藝術大学の隣が上野公園だったこともあり、制作していてアイデアが出ないときは、公園の周りを走っていましたね。音楽を聞きながら走ると無心になれるんです」と前田さん。入社後は社内のランニングチーム「SRC」に所属したことで、よりランニングの楽しみを感じられるようになったという。

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「仕事の後か休日の朝に走ることが多いです。毎回3〜5km、気持ちが乗ったときは10kmくらい。仕事で疲れているときでも、走ると気持ちがリフレッシュしますし、アイデアが湧いてきますね。最近のお気に入りの音楽のジャンルはEDMで、リズムに合わせて走ると気分がアガりますが、端から見るとちょっと怪しいかもしれません(笑)」

いいイメージがなかったからこそ、自分の手で変えていく

前田さんが所属するデザイン部署は、主にファッション性を重視したランニングシューズをデザインするところで、楽しくオシャレに走りたい人たちをターゲットにしている。

普段ASICSを履かない人にとってASICSといえば、学校指定のシューズで、どちらかというと履かされていた、という印象を持っている人も少なくないだろう。前田さん自身も同じような思いがあったが、そのイメージをデザインの力で変えていきたいと思うようになったという。

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前田さんはデザインを考えるにあたり、まずは自分が欲しいと思えるものをベースにしている。そして道ゆく人のシューズをつねに観察してトレンドを追いながら新しいデザインを練っていくのだとか。

「デザインにばかり目を向けてはダメです。ASICSの冠を掲げている以上、機能性は損なわないようにしなければなりません。たとえば、いいデザインだなと思ったラインでも、足の骨に当たってしまい履き心地が悪くなってしまうことがあるように、そこにこだわりがないと、ただのファッションシューズになってしまいますからね」

入社しておよそ1年半、ようやく自身の手がけたアイテムが発売される。しかし、まだまだデザインについて悩むことも少なくないという。

「男性がどういうデザインを好むか、まだつかめていないところがあります。どうしても線のアールが女の子っぽくなってしまうので改善していきたいですね。少しの角度や太さのちがいで大きく印象が変わってきますから。いまは先輩に教えてもらいながら試行錯誤しながらやっています。身体を動かすことは自分の原点でもあるので、どうしてもダメなときは走って気分転換です(笑)。来年以降に、ようやく自分の携わったアイテムが世の中に出るので楽しみです。これからはさらにデザインに磨きをかけて、よりいいモノを作っていきたいですね」

お気に入りアイテム

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LADY GEL-KENUN(レディ ゲルケンウン)

前田さんのチームがつくったシリーズ。「いい意味でASICSっぽくなくてオシャレだと評判をいただいています。ケンウンは名前の通り「巻雲」という意味で、雲の上を走っているような、やわらかい履き心地が特徴です。ですが、個人的には水まんじゅうのような感覚だと思っています(笑)。

GEL-KENUN(ゲルケンウン)シリーズはこちらから。

 

PHOTO: Kohichi Ogasahara TEXT: Keisuke Tajiri