ランニングでは、正しいフォームを身に付けるためには意外に多くの練習と時間が必要です。初心者には一見単純な動作に見えるかもしれませんが、そこには多くの要素が含まれています。正しいランニングフォームは、頭から足先まで全身を使って行います。ランニング姿勢の整え方を覚えると、ケガや痛み、疲労を防ぐことができます。実際、体の一部が少しでもずれていると、走りに支障をきたすのです。

ランニングを始めたばかりの方には、このようなことを考えるのは大変かもしれません。一歩一歩のステップを見直さなければならないかもしれません。でも、ちょっとした工夫と努力で、すぐに自然にできるようになります。

ランニングテクニックを向上させる10の方法

ランニングテクニックを向上させる10の方法

FrontRunnerのメンバーであるレイ・スマートのように、多くのランナーにとって良いテクニックは重要です。「以前は非常に緊張した状態で走っていたので、走るときのフォームに注目することは重要だと思います」と彼は言います。「歩幅や足のリズム、背筋を伸ばして上半身をリラックスさせることなどに気を配っています」。

ランニングテクニック向上に大きな違いを生み出すちょっとした方法は、たくさんあります。肩、頭、腕の位置を調整するだけで、より効率的なランニングが可能になり、ケガもしにくくなります。次に走る時は、以下のランニングフォームのヒントを取り入れてみてください。

※本記事では海外のアシックスランニングコーチの指導内容をご紹介しており、日本でのアシックスラン二ングコーチの指導内容と異なる箇所がございます。
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1. 頭を真っすぐにする

うつむいて走ると、首の痛みがひどくなったり、悪い癖がついてなかなか治らなかったりします。また、首に負担をかけてしまうことで、後々痛みを感じることもあります。「うつむいていることに気づいたら、顔を上げて姿勢を整えることに集中しています」 と、FrontRunnerメンバーのヴィッキー・レドベリーは言います。

顔を上げて、3~4.5m先の路面を見て走ることが大切です。そうすることで頭の位置を正しく保つことができ、もちろん何かにぶつかることも少なくなります。

2. 良い姿勢を保つ

良い姿勢を保つことは、テクニックにとって非常に重要です。お腹に力を入れて体幹を意識すると同時に、胴体をまっすぐにして肩を後ろに引きます。走る姿勢が悪いと、筋肉が正常に働かず、首や肩、背中に負担がかかります。

3. 肩の力を抜く

肩の位置は非常に重要です。肩を後ろに引いて、背中がまっすぐになるように下ろします。これにより体幹が鍛えられ、体が傾くのを防ぐことができます。ランニング時に後ろや前に傾きすぎると、腰を痛める可能性があります。

肩の力を抜く

4. 腕を横にしておく

腕を左右に振るのは、余計な力が入ってしまうのでNG。そうではなく、腕は身体の横で前後に振るように戦略的に配置しましょう。

腕を振るのは、足と逆の動きをすることを念頭に置きましょう。片方の足が前に出たら、同じ側にある腕は後ろに下がります。この動きが体のバランスを整え、一歩一歩の歩幅を効率的にしてくれます。FrontRunnerメンバーのターニャ・クリスティン・ガイボロンスキーは、「まっすぐな姿勢を保ち、肩の力を抜き、腕は身体の横にして、小さな歩幅をとるよう意識しています」と語ります。

5. 肘を曲げる

正しく走るためには、肘が曲がっていることが必要です。肘の角度を70度から110度の間に保つことで、体のバランスを保ちながら走ることができ、走り方に良い影響を与えます。また、肘を規定の範囲内で曲げることで、足や腰の負担を軽減することができます。

6. 手に力を入れないようにする

自分がやりやすいことをやるのは当然ですが、自分のペースを落とす原因になっているものにも気をつけましょう。ランニング中に手を握りしめていると、非常に体力を消耗します。そうすると、長い時間走れなかったり、遅くなったりします。

ランニングの一番良いヒントの一つは、リラックスすることです。手を軽く握って、拳のような状態にします。このとき、手に力が入らないように、自然で快適な状態にしておきます。手に力を入れずお椀型にすることで、エネルギーを節約し、ペースを維持することができます。このようなちょっとした調整が、ランニングのパフォーマンスを大きく変えることになるのです。

手に力を入れないようにする

7. 膝を緩めておく

膝の位置を意識して走ってみましょう。そうすることで、体全体の調子が良くなるかもしれません。ランニングは関節、特に膝を傷めると思っている人がいます。それどころか、ランニングは正しく行えば関節炎に効果があることが証明されているのです。

膝を少し上げて、力を入れずに一歩一歩動かせば、脚の動きがよりスムーズになります。これにより、足が路面に着いた時の衝撃を、膝がより効率的に緩衝できるようになります。

8. ストライドを軽く、路面に近い位置に保つ

走るときは、ストライドは楽に軽く、親指付け根の足の裏のボールで蹴り出すようにします。そうすることで、両足に均等に体重がかかるようになります。短いストライドで走る場合は、足は体の下で着地することが多いです。そうすることで、バランスを取りコントロールしやすくなります。ストライドを短く、軽くすることで、全体的にエネルギー消費が少なくなり、より速く、より長く走ることができるようになります。ガイボロンスキーは、「時には、走るときに足を『上げて』、小さく速いステップを踏むことを意識するといいですよ」とすすめています。

9. 足の踏み込み方に注意する

走るときには、土踏まずの内側、足の中央に近い部分で着地し、親指付け根の足の裏のボールや足の前部で押し出すようにしましょう。この走り方は、一歩一歩の衝撃を緩衝し、走り続けることを容易にします。

10. 自分に合ったランニングギアを使用する

正しいランニングをするためには、自分に適したランニングギアを活用することが重要です。しかし、自分の体に合ったものと、他の人の体に合ったものは違うかもしれません。たとえば、ランニングシューズ。ASICSでは、ランニングシューズのフィッティングを担当者が行い、あなたのランニング動作に適したクッション性と構造を足に提供します。適切なシューズを履くことで、ケガを防ぎ、身体を長持ちさせることができます。

また、適切なウェアを着用することも重要です。軽くて通気性のよいウェアを身に着ければ、ランニングがより楽しくなります。ASICSのランニングウェアを着ていたら、男性も女性も素敵に見えるはずです。

なぜランニングフォームが重要なのか?

なぜランニングフォームが重要なのか

スポーツ栄養士のエレナさんいわく、良いフォームを心がける理由はシンプル。「基本的にケガをしないため」です。ランニング中の正しいフォームは、ケガの予防に欠かせません。

頭や腕が最も快適なポジションに落ち着くのが一般的です。エレナさんが指摘するように、「ランニングは本質的に、周囲の空間を移動するための自然な(そして厳密に個人的な)方法」です。しかし、正しいランニングフォームを身につけることも、快適さとテクニックのバランスを取ることも、重要です。エレナさんは加えて、「(ランニング中に)良いフォームを保つことで、その健康効果、身体の強化、自己認識をサポートすることができるんです」と語っています。また、最初にフォームに悪い癖がついてしまうと、それを直すのは大変なことです。

正しいフォームで走る遅いランナーは、間違ったフォームで走る速いランナーよりもケガをしにくいものです。正しい方法で走れば、体の痛み、首や背中の痛み、足のケガなどを防ぐことができます。

ランニングテクニックが低いと思われる兆候

上記のランニングフォームのコツを守っていない方は、ランニング中やランニング後に身体の不調を感じることがあったかもしれません。以下のような症状は、テクニックが低下している兆候である可能性があります。

  • 首や肩の痛み。
    これは、うつむきになり、肩が前に出ていることが原因です。この問題を解決するには、体幹を意識して、肩を後ろに引き、顔を上げることです。
  • 強烈な疲労感と痛み。
    そのように感じるのは、たいてい、一部の筋肉が他の筋肉よりも強く働いているからです。走っているときは、主に体幹と脚の筋肉を使うようにします。
  • 過度の息切れ。
    これは、胸を張っていないために、空気がうまく流れないことが原因です。

姿勢や腕の位置を保つ方法を変えるのは、最初は難しいかもしれませんが、正しいテクニックを身につけることでランニングのレベルを上げることができます。そのためには、自分の体を「機械全体の中の1つの部品」と考えることが大切です。腕があるべき位置が分かったら、その正しい位置に保ちながら姿勢を整えていきます。

最初は考えることが多くて大変かもしれませんが、そのうち自然にできるようになります。これらのスキルに取り組むことで、より効率的に走ることができ、タイムと持久力を向上させることができます。

ほとんどのケガは、ちょっとした筋肉のアンバランスや、動作パターンの崩れの結果として起こります。ランニングは、時間をかけて、時には長い時間をかけて、一連の動作を繰り返し行うものです。疲労がたまるとフォームが崩れやすくなり、すぐには気づかなくても時間が経つと小さなケガが出てきて、タイムにも現れます。ランニングフォームがしっかりしていれば、疲労によるケガも少なくなります。

そして忘れてはならないのが、最も重要なランニングフォームのコツ、つまり、自分の足に合ったランニングシューズを履くことです。