滝藤賢一が語る
芝居と植物、そして靴。
滝藤賢一が語る
芝居と植物、そして靴。
名だたるキャストの中でも異彩を放ち、バイプレーヤーとしては物語の魅力を引き立てながら、主役を張っても光り輝く。
演技派、名優と称される滝藤賢一さんの個性の強さは、一体どこから来るのだろう?
作業着で汗を流した下積み時代のエピソードから、偏愛する植物や家族との暮らし、そして知られざる葛藤まで。
毎日をともにするアシックスワーキングのシューズに足を入れた滝藤さんに訊く、今の日常と胸中。
Photograph & Direction_Kousuke Matsuki
Videograph_Keishiro Hida
Styling_Toru Yamazaki
Hair & Make-up_Yu Yamai
Edit & Text_Rui Konno
あの頃アシックスのワーキングシューズがあれば、
仕事ももう少し楽しくやれてたと思います(苦笑)
―今日の撮影の休憩時間にも鉢を眺めている滝藤さんを見て、本当に植物がお好きなんだなと改めて感じました。そもそもそこまで傾倒されたのは、何がきっかけだったんですか?
最初はやっぱり葉の色ですね。僕が昔から通ってるショップにキセログラフィカっていうエアプランツが売ってて、それが植物なのに白かったりシルバーだったりして。この葉はなんでこんな色なんだろう? っていうところから。多分子供に聞いたら百人が百人、「植物は緑だ」と答えると思うんですよ。それがシルバーだったっていう衝撃。あれからですかね。
―それは時期的にはいつ頃のお話ですか?
『半沢(直樹)』の時ぐらいだから、10年前くらいかな。その後によく行くフラワーショップにずっと置いてあった(パキポディウム・)ビスピノーサムという塊根植物を買って。その子はいまだに元気ですよ。
―それ以前にも植物を育てていたことはありますか?
もちろんありましたけど、虫が湧いちゃったりしてうまく育てられなかったです。そもそも当時はアルバイトをずっとしてたから、家にほとんどいなかったですし。
―俳優として活動される以前のお話ですね?
映画の世界を夢見て東京に出てきたけど、何をしていいかもわからずアルバイトばかりで、腐りまくってましたね(笑)。東京に出てきてから無名塾っていう劇団に入るまで2年間ぐらいはいろんなアルバイトをしてました。引っ越し、コンビニ、リサイクルショップとか。その中で建築現場で肉体労働をしていた時期もあって。ずた袋に詰まった廃材を捨てる、要はゴミ運びですよね。もちろん安全靴を履いて。
―それは現場で支給されたりしたのですか?
いや、自分で買いましたよ。あの当時の安全靴はものすごく無骨だったんですけど、今履いているアシックスのワーキングシューズは配色も良くてデザイン性も高いし、ゴアテックスの防水仕様だし、とにかく軽い。もう言うことなしですよね。
―たぶん、滝藤さんの下積み時代の安全靴はあまり選択肢もなかったのではないでしょうか?
作業服もそうですけど、そんなに選べなかったと思います。みんな同じような格好でしたし、そこにファッション的な感覚を持ってた人なんていたのかな? あの頃にアシックスのワーキングシューズのような靴があればもっと楽だったし、仕事ももう少し楽しくやれてたと思いますよ(苦笑)。ファションもそうですけど、自分の好きなものを選べたらモチベーションも上がると思いますしね。
―それが仕事でも趣味でも、そういうふうに形から入ることもありますか?
僕の場合はすべて形からですね(笑)。ファッションもそうだし、植物もそう。芝居なんてその最たるところです。若い頃からロバート・デ・ニ―ロやアル・パチーノに影響を受けて、高校の時にはタランティーノや(北野)武さん、東京に来たら浅野忠信さんっていうように、「ああいう人になりたい!」っていう格好いい人を真似して生きてきたので。どこから入ろうが、好きになって続けていけるならいいと思います。そうすれば、人に話を聞くのがおもしろくなるし、自分で勉強もするようになるから。自分の子供に対しても思うんですよ。何か夢中になれるものがあればいいなって。
―世話や手入れがこまめに必要な植物も、滝藤さんにとってはそのひとつなんですね。
そうですね。夏場は観葉植物に1日2回、必ず自分で水をあげてます。今日も朝5時に起きて、まずは植物に水をあげて。家の外が鉢だらけですごいことになってて、自転車置き場にも植物を置いてるから「自転車がしまえない」って奥さんにはすごい怒られてます。
―そこは奥様を尊重しながらぜひうまくやってください(笑)。
(笑)。植物に水を撒くときにもこのアシックスのワーキングシューズを履いてます。水に濡れても平気だから気にせずガンガン履けるし、足を護ってくれて重い鉢を運んだりするときでも心強いから。歩くのも楽なんで、毎朝子供を駅まで送って行くときも足元はこれだし、何ならずっと履いてますね。最近は息子に勝手に履いていかれたりもしてます(笑)。履こうと思ったら「あれ!? ないぞ……?」って。
常に自問自答です。日々格闘しながら、
悩み苦しんでます。
―かつてはアルバイトのときの足元だった安全靴が、今はライフワークのための足元になったんですね。すごく充実しているんだなと、お話を聞いていても感じます。
ありがとうございます。ただ、足元は充実してるんですけど、演じることは路頭に迷ってますね。
―本当ですか?
はい。常に自問自答ですよ。自分のやっていることを疑い続けてます。演じることとは何ぞやと日々格闘しながら、悩み苦しんでます。孤独ですよ。
―そうだったんですね。人気作品にたくさん出られていて、側から見れば順風満帆そのものだったので、正直意外でした。
本当に多くの作品に呼んでいただけているので、とてもありがたいです。だからこそ、自分のやっていることに責任を持って、ワンシーン、ワンカットにベストを尽くしたいです。
―熱量やモチベーションが途切れる怖さもあるのでしょうか?
熱量は下がらないですね。むしろ増しています。それが芝居に出ていて、暑苦しいんじゃないかっていう(笑)。正解のない世界で正解を模索するのは修行ですね。生涯修行です。
―植物の世話をしているときもやっぱり自問自答の時間なのでしょうか?
植物に水をあげるときは芝居から離れられるんです。「葉っぱ、大きくなったな……」とか、「おお! 花、咲いた!」とか。そのおかげで僕はバランスを保てているのかもしれません。植物は僕にとって大事ですね。このアシックスのワーキングシューズはそこでもテンションやモチベーションを上げてくれる靴。植物やワークだけじゃなく、街でも全然履けるデザインですし、雨の日だって履くことができる。何でもない日常を、楽しませてくれる靴なんです。
1976年生まれ、愛知県出身。映画『 クライマーズ・ハイ』(2008年)で脚光を浴び、以降、ドラマ、映画、CMなどで幅広く活躍。近年の出演作に、「グレースの履歴」、連続テレビ小説「虎に翼」、映画に『若き見知らぬ者たち』(10月11日)、『私にふさわしいホテル』(12月27日)が公開予定。
ウィンジョブ® CP604 G-TX BOA
(アシックス オンラインストア 限定カラー)
ダイヤルでフィット感の調節や着脱が簡単に行えるBOA®フィットシステムや、防水透湿性に優れたゴアテックスファブリクスを採用したワーキングシューズ。軽量で、クッショニングにも優れている。つま先を保護する先芯を搭載しているので本格的なワークの現場から、スニーカー感覚でのデイリーユースにまで対応する、アシックス ワーキングシューズのフラッグシップモデル。